誰も居ない
傷ついた、となんだか思った。とたんに何もかもがつまらなく思えた。
居心地の悪い空間。それでもそこは誰かにとっては素晴らしいものならば、私が関わらずにそっと立ち去ればいいだけの話。いやいや、この中でも、どんな中でも堂々と振る舞えるような強さが欲しいの、だなんて、欲張りな話かしら。
歴史あるものにも、皆が誉めたたえるものにも、私は今「何がそんなに良いのかしら」と冷たい気持ちになる。
歴史あるものは長い時間をかけても廃れなかったものなんだから確かな価値のあるものだし、皆が誉めたたえるものも、ちっぽけな自分に比べたらそれは勿論確かに良いものなんだろうなあと分かっている。でもそれでも今の私の心には何も響かない。
それは、私が変わればいいだけの話だ(向上心)、などと、それを私が受け入れるだけに器を広げられればいいのだ、と、思うことに疲れた。
私が今思うことは、まったく新しい気持ちなのです。
まったく新しい気だるさで、まったく新しい気恥ずかしさ。
歴史上の誰かともこの世に生きる誰かともまったく違うわ。
だから説明しようとなんてしないでくれ、ましてや説得だなんて。
そういうつもりで、そういうつもりで、今まで何度となく繰り返されてきたであろう試みで私は自分を守る。
二度とその場所には戻らない。
言い訳が長いだけなのです。
でも、私が私を守らなかったら、一体誰が守ってくれるのでしょう。
そしてこんなこと書いておきながら、女の強さは、「なんのことだったっけ」と数日後に思うであろう冷静な自分に、今の時点でもちょっと気が付いていることかも知れません。