準備
言葉にできない感情ばかり抱えていて、
「仮にもミュージシャンならそれを言葉にするのが役割でしょうに、できないなんてねえ」と、自分を責めてみては安心していた、ああやっぱり私はダメな奴なのね、と安心していたけれど、もうそれには飽きたから、
それよりも1ミリメートルでも苦しい時間が短くなったな、とか、幸せな時間も、またそのうち訪れるだろうと待っていられる余裕を1ミリでも太くできてるな、とか、そういう自分に目を向けるのです。
誰もが、自分に向かっているのです。
そしたら、くだらないと、意味が分からないと言われても、もう自分の中をちゃんと作れていたら、窓の外に降ってる雨のように「降っているなあ」と思うだけで済むのです。
私は、ぼんやりしていた私を、柔らかなままで、輪郭をはっきりさせ始めるのです。
どんな準備でも出来ています。
大丈夫、大丈夫、言い聞かせた言葉を外側から徐々に真ん中に持っていき、「大丈夫。」に変えたのです。