きぼうのひかり
選ばれない夜があった。
理解されない夜があった。
無視、されているわけでないけど、見向きもされない夜、
一人ぼっちの夜があった。
そんなときは、冷静なときならばなんでもない出来事でさえも、自分を否定している声のように聴こえた。
誰にもわからないかも知れないけど、たった一人でも、ここに立つのだと思っていた、
けどそんな覚悟をしていても、暗い闇みたいなものに飲み込まれて、足元がゆらいだ。
苦しい。孤独だ。辛い。
でも、そんなときなのに、ひとしきり泣いた後は、なぜかいつも希望の光のようなものが一筋、差し込んでいた。
私はそれは煩わしいと思った。
希望の光なんかなければ、闇の中にずっと居られれば、いいのに。
ここからまた這い上がらなきゃいけないなんて、なんでよ。そんなしんどいことなんでしなきゃいけない。暗い部屋の中にいさせてくれよ、と思った。私が本当にそこから抜け出せなければ、抜け出そうなんて思わなければ、いつか慣れるし、多分周りの人も諦めてくれるし、中途半端に希望なんて見せられるくらいなら、いらないのに、なんで差し込んでくるんだよ、こんな光は。
そう思っていた。いつか光さえ消えて絶望の海に沈んだら、それはそれで世界の深淵が見えるでしょ、それではそれでいいでしょうと思っていた。
だけど希望の光がいつまでたってもなくなりゃしない。
何回傷ついても、いつでもそこに見えてしまう、その光が。
性懲りもなく、いつでもそこにあるので、もう諦めることを諦めることにした。
いつでもそこにある、そいつについて歌ってやろうと思った。
だって、絞り出すでも、無理矢理呼び出すのでもなく、ただそこにあるのだもん。
そしてそれが私のたった一つの才能だと、ようやく気が付いた。
希望の光が見えてしまう才能。
深淵にいる人が見たら、バカバカしいって思うかな。
それでもこれは役割分担です。これが私の役割です。
どこにいたって見えてしまいます、誰に対しても見えてしまいます、光が。
煩わしかった眩しさを、今はとても大切にしている。