「出てくるものだけ」

ライブ活動(歌っている)斉藤めいのブログ https://saitome.localinfo.jp/

ピュア

ある発言について問題になってる政治家がいて、それをとりまく世の中の流れをみていると「問題になるような発言か?」とか「女だけど、そんなに気にならないけど」という意見をときどき見かけるけれど、この問題に限らず、世の中で浮き出てくるものっていうのは。

ただただ点のように、「誰かが何かを言いました」「それを聞いた誰かがそう思いました」、という事で済まないのだと思う。

『今に至るまでに、人々に過去の時代から今の時代へと受け継がれてきた精神(良いものも、悪いものも含む)』と、発言する人物の影響力、つまり『現時点での発言する側と、発言によって影響を受ける者の力の差』という目には見えない上下の矢印みたいなもの、その2つに思いを馳せることがポイントなんだと思ってる。

 

 

女性に対する暴言で問題になった元首相。

先に言っておくと、言いたいことは『男性よりも女性を優遇すべき!』とか、そういう話ではまったくない。男性だって当然大事にされるべき。というか人間として尊重されることに男性とか女性とか関係ない、どちらでも真ん中でも、当たり前に大事にされて当然です。

ただ、ただね、男性と比べて、とかではなくて。男には男の辛さがあるだろうから。だからそういう男女の比較ではなくて。

「女」というだけで、虐げられてきた女性がたくさんいたことが歴史の中で確かにあって、記録に残っていないものも含めたら、何千・何万・何億の世界中の女たちがきっと傷を受けてきた。

もしかしたらそれを当たり前のこととして受け入れていたかも知れない、自覚さえできなかったかもしれない、でも私と同じ1人の人間がそれぞれの物語の中で生きていて、それが何億もあったと想像して、その人たちが「女に生まれた」というだけで世界から見えない傷を受けていたとしたら。

その人たちに受け継がれた世界で私たちは今生きている。そしてやっと世界が「これはおかしい。今この時代で止めよう」と気づき始めたんだと思う、何億の痛みを経て、やっとのことでたどり着いた。

「女だから」と語られることから始まる抑圧だとか、仕組みが出来上がった社会で でしゃばるな女の役割を果たしてろ、という無言の圧力について、当たり前すぎて気づかなかったけど、辛い思いを受けている人が過去からずっといた。現在進行形でいる。だから少しずつ変えていこうよと。

 

元首相の発言は、そんな多くの精神が救われるはずの変化を、元の時代に引き戻してしまう可能性がある発言だったんだと思う。

発言者は世の中を動かせる圧倒的な力を持った者で、しかもその発言の影響を受ける側の多くは政治力のない一個人ならば余計に。見えない矢印の上の方から下への固定を余計に強化している。

「でしゃばりな女たち」なんかだけではなくて、賢くて物も言わぬ静かな、過去からの目すべてが見つめているよ。

個人的な都合だけで「私の気持ちを優先しろよ」ってワガママ言うような、そんな生易しいものではないよ。

どうか、どんな立派なものであろうと自身の半径何メートル以内かの世界だけでなく、その外に暮らす人々にも思いを馳せ、逆行して非難されることのない安らかな場所にたどり着いてもらいたいと思う。

 

そして書いてて思ったけれども、たまたまこれは「女」についての話なだけで、何度も言うように「男はいいでしょ」って話じゃない。「男も辛かったんだ」とか、男女関係なく「こう辛かったんだ」という事が誰かの心にあって、それを世界と共有することで改善していけることならばただ話してほしい。「私は辛い」「あなたは辛い」はどちらか一つが正しいのではなくて、両立しうるのだから。そして私もあなたも幸せ、につなげていけたらいいね。

 

誰に向けて書いてるのかわからないまま、ライブ後の興奮と、あと一歩で出来上がらない新曲への「ウワー!」感をごまかすために、そして「ミュージシャンも政治のこと言っていこう。なぜなら世界は自分たちで作るものだから」とか言いつつそんなに言及できてなかった自分を気軽に打ち破っていこうという気持ちで書きました。
つづく(誰の人生もが)